海外配当は手元に届く前に二度課税されます。支払国が源泉で徴収し、居住国が同じ所得に課税してから既に納めた分を控除します。配当を一行ずつ並べれば現地へ出ていく金額を合算し、国別の控除限度まで計算します。居住国の税率は任意入力です。
条約税率は居住者証明などの書類を提出して初めて適用されます。何も出さなければ法定税率が徴収されます。
外国税額控除は居住国で納める税額までです。それを超えた分は還付されません。
控除限度は項目別ではなく国別にまとめて計算されます。銘柄ごとに別々に計算して足すと税額が過大になります。
まず範囲です。支払国の側は正確です。どの国が非居住者の配当から何%を源泉徴収するか(法定・条約)、保有分から現地へ実際に出ていく金額、そして控除限度に掛かって戻らない分。ここまでは税率表と算術です。
居住国の側は近似です。この道具は居住国の税率を一つ受け取り、全額に掛けます。その国の年間控除枠、非課税枠、累進区分、選択制度は一切反映しません。したがって単一税率で完結する国(日本 20.315%、フランスの PFU 30%、韓国の基準金額以下 15.4%)では実際と一致しますが、控除枠のある国では少額のときに数倍ずれます。ドイツには年 1,000 ユーロの Sparer-Pauschbetrag、英国には配当の非課税枠があります。
そのため居住国の税率欄は任意です。空欄にすれば「現地源泉徴収後の受取額」までで止まり、その値は近似ではなく正確です。
さらにこの道具は申告の判定をしません。居住国で申告義務があるか、基準を超えるかは国ごとに規則が全く違い、居住国別の道具が必要です。韓国居住者には金融所得総合課税の計算機があります。
一件ずつ計算して足すと税額が過大になります。控除限度が項目別ではなく、まとめた単位で計算されるからです。ある銘柄で余った限度は、同じ国の別の銘柄の超過分に使えます。
数字で見ます。居住国の税率 15%、米国 REIT 100 万(現地 30% = 30 万)+米国の利子 100 万(現地 0%)。別々に:REIT は限度 15 万までしか控除されず 15 万を失って負担 30 万、利子は控除する外国税がないので 15 万を追加 → 合計 45 万。まとめて:米国所得 200 万に対する限度は 30 万なので現地の 30 万が全額控除され追加は 0 → 合計 30 万。
同じ入力で50% の差です。だからこの道具は項目をリストで受け取り、国別にまとめて限度を計算します。
まとめる単位を国別にしたのは保守的な選択です。韓国は国別限度が原則なので米国の超過分を日本の所得の限度に使えません。米国のように所得区分(バスケット)別にまとめる国では国をまたぐ相殺が認められるため、実際の控除はこれより大きくなることがあります。
二つの国が同じ所得に課税権を主張します。支払国は自国で生まれた利益だからと源泉で徴収し、居住国は自国の住民の所得だからと再び課税します。放置すれば同じ資金に二度課税されます。
それを防ぐのが租税条約と外国税額控除です。条約は支払国が徴収できる税率に上限を設け、控除は居住国の税額から既に納めた外国税を差し引きます。二つが働くことで総負担は両国の税率の合計ではなく、高い方の近くに収まります。
したがって「現地の税+居住国の税」を単純に足すと実際よりはるかに大きな数字になります。ここで控除の段を独立した行として示しているのはそのためです。
表に二つの数字がある理由です。法定税率はその国の税法が非居住者に課す税率、条約税率は自国との条約で定めた上限です。何も提出しなければ法定税率になります。
米国が最も分かりやすい例です。法定30%、条約15%。W-8BEN(外国人受益者証明)を提出すれば15%になり、証券口座の開設時にまとめて取得されることが多いです。
差は二倍で、それを決めるのは書類一枚です。自分で開設した口座で保有している場合や、古い口座でW-8BENの有効期限が切れている場合は、実際に何%で徴収されているか確認してください。
最も誤解の多い点です。控除は外国税を還付する制度ではなく、居住国の税額を減らす制度です。減らす税額がなければ控除もありません。
数字で見ます。配当1,000に現地30%(300)が課され、居住国の税率が15.4%(154)なら、控除は154までです。残る146はどこからも戻らず、総負担は30%になります。
逆方向は穏やかです。現地15%、居住国15.4%なら15%が控除され、追加は0.4ポイントです。
つまり総負担はおおよそ両税率の高い方です。これが分かると条約税率を確保する意味も明確になります — 居住国の税率より下がって初めて超過分の損失が消えます。
この表の税率は「一般に適用される」値です。実際の税率は支払国と居住国の組み合わせごとに異なります。条約は二国間の文書なので、同じ米国配当でも韓国居住者とドイツ居住者では別の条約が適用されます。
さらに多くの条約は持分比率で税率を分けます。相当の持分を持つ法人には低い税率(5%など)を、個人のポートフォリオ投資家にはそれより高い税率を適用します。この表は個人投資家基準です。
保有期間の要件が付く条約もあります。金額が大きい場合は、自分の居住国と支払国の条約の配当条項を直接確認する方が安全です。
一部の国は条約税率を最初から適用しません。まず法定税率で徴収し、条約税率までの差額は還付申請をして初めて戻します。スイス(35%)、フィンランド(35%)、ドイツ(26.375%)、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、イタリアなどがこの方式です。
問題はその申請が実際にはあまり行われないことです。書類が煩雑で、少額なら代行手数料が還付額を超えます。結果として「条約では15%」なのに実際は35%を負担する状態が続きます。
そのため、これらの市場の株を比較するときは条約税率ではなく実際の負担で引いて考える方が正確です。表示利回り4%でも実効35%なら税引後は2.6%です。
同じ国でも分配の種類によって税率が変わります。オーストラリアのfranked dividendは法人税を負担済みの利益からの配当で、その部分は非居住者源泉徴収が免除されます。unfrankedの部分にのみ課税されます。
米国REITの分配のうち資本の払い戻しに当たる部分や、パートナーシップ(MLP)の分配は税法上の配当ではないため源泉徴収の規定が異なります。特にMLPは非居住者に高い税率が適用されることがあります。
株式配当や資本準備金の減少による分配も別扱いです。配当通知書に内訳が記載されているので、税率が想定と違うときはそこから確認してください。
第一に、条約税率が実際に適用されているか確認します。配当明細の源泉徴収率をこの表の条約税率と比べてください。違えば書類の問題である可能性が高いです。
第二に、居住国での控除を漏らさないこと。源泉徴収のみで完結する場合は自動ですが、確定申告に含める場合は申告で控除を反映する必要があります。
第三に、還付方式の国は法定税率で評価します。申請するつもりがなければ、それが実際に負う負担です。
第四に、税制優遇口座が使えるか見ます。ただし優遇されるのは居住国の税で、支払国の源泉徴収は口座の中でも引かれます。むしろ居住国の税が0になると外国税額を控除する相手がなくなり、全額が純粋な費用として残ります。
米国の非居住者に対する法定税率は30%ですが、条約締結国の居住者がW-8BENを提出すると通常15%に軽減されます。提出しなければ30%がそのまま徴収されます。
居住国の税率が高い場合の差額だけです。現地15%、居住国15.4%なら0.4ポイントの追加です。その調整が外国税額控除です。
居住国からは戻りません。控除の上限が「居住国で納める税額」なので、それを超えた分には控除する相手がありません。スイスやフィンランド(35%)のように法定税率が高い国で書類を出さないと、その損失が残ります。
その国では源泉徴収されません。居住国の課税は残るので、控除する外国税額がない分、居住国の税率を全額負担します。
支払国の欄を「—」のままにして税率だけ入れてください。配当通知書や証券会社の取引明細に源泉徴収率が記載されています。国を空欄にした行は一つのまとまりとして控除限度を計算します。
このツールが何を根拠に計算し、どこまで答えられるかを明示します。
現地源泉徴収 = 配当総額 × 支払国税率 · 居住国算出税額 = 配当総額 × 居住国税率 · 外国税額控除 = min(現地源泉徴収, 居住国算出税額) · 税負担合計 = 現地源泉徴収 +(居住国算出税額 − 控除)· 手取り = 配当総額 − 税負担合計配当1,000・米国条約税率15% → 現地150・居住国15.4% → 154・控除 min(150, 154) = 150 → 追加4・合計154・手取り846(実効15.4%)/ 法定30%なら現地300・控除は154まで → 146は控除不可・合計300・手取り700